「諸国空想料理店KuuKuu」は2003年12月末でクローズいたしました。もうすぐまるまる2年になります。閉店当時はずいぶんたくさんの方から驚きの声とお叱り、慰めの言葉をいただきました。それらすべてに、満足のゆくお答えができず失礼をいたしました。
2年という時間が過ぎたので、あの頃を余裕をもって振りかえろうかとも思いましたが、2年という歳月は逆に「そんなこともう語らなくていいんじゃない?」という時間でもあるようです。
本来なら、南椌椌のHPにKuuKuuのページを残す必要もないのかも知れませんが、そうするにはまだ懐かしさも未練もふくめて、自分のなかでは暖かく体温のあるKuuKuuが棲みついています。
そこでクローズが決まってから作り始めたようなKuuKuuのホームページを復活させ、文字通りの空想料理店としてここに開店することにしました。
そして、2003年12月23日から30日までの疾風怒濤のクロージングパーティの様子を写真を通してみなさまにお伝えすることで、かつて吉祥寺の路地裏にKuuKuuというちょっと不思議な店があったよ、と記憶の片隅でささやきあっていただければ、マスターたる南椌椌はとても嬉しいのです。

実際に営業していた頃のKuuKuuについては、高山なおみの最初の本である『諸国空想料理店』(筑摩文庫版)を読んでいただければ、なんとなく判っていただけるのではないかと思います。美人シェフ・高山なおみの素敵なエッセイと南椌椌の冗談のような解説が微妙に響きあっていますよ。(ホントかな?)

一週間にわたったクロージングパーティの出演者と主催者の感想を記しておきたいと思います。たくさんの写真を散りばめてありますので、それぞれクリックして見てくださいね。

 

12月23日、24日
原マスミによる「サヨナラKuuKuuクリスマス!」

12月25日
「VIVA!絵本作家歌謡ショー!」

12月27日
「LIVE!吉祥寺・フォークの遊星たち!」

12月28日
「吉祥寺らくごカフェ・江戸文化でサヨナラKuuKuu」

12月29日
「ヤア!ヤア!ヤア! クラムボンがやってくる!」

12月30日
KuuKuuの大団円。終わりの終わりの大パーティです。

 
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12月23日、24日
原マスミによる「サヨナラKuuKuuクリスマス!」

10年続いた原マスミのラストライブでした。この夜は、札幌の友人、三上敏視さんと高遠彩子さんのユニット、MICABOXがゲストで駆けつけてくれました。原マスミの「夜の幸」のカバー、よかったです。原マスミ曰く「あんなにいい曲だったっけ?」

ところで、KuuKuuでの弾き語りは、原マスミファンの間では伝説になっているようです。毎年、電話予約受付日は大変な競争でしたね。遠く、北海道、九州からKuuKuuのクリスマスを楽しみに駆けつけてくれる方もいらっしゃいました。そんな、みなさまの夢を奪い取ってしまったKuuKuu店主は極悪人です、きっと。でも、罪を憎んで人を憎まずと申します。あまり恨んだりしないでくださいませ。

原マスミの音楽の魅力ってなんだろう?それは、夢見ることの美しさと愛することの残酷さをカクテルにした、妖しい美酒にたとえられるかも知れません。飲むとかならず酔います。そして、醒めるとまた飲みたくなるお酒です。ところが、この類い希な美酒がまったく飲めないヒトもいるんですね。面白いですね。僕はといえば、このお酒なしでは生きて行けない……かな?毎年恒例のKuuKuuスタッフの合唱つき「耳の夢」は忘れることができないでしょう。写真でも見られるように、お腹の大きいハヅキが激唱していました。原マスミの歌を聴いてもう泣かないでいいと思うとホッとしますな。

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12月25日
「VIVA!絵本作家歌謡ショー!」
出演 荒井良二、飯野和好、スズキコージ、沢田としき、竹内通雅、原マスミ、
(ゲストにケロポンズを迎えました。)

KuuKuuの上階には絵本専門店のトムズボクスがあったので、多くの絵本作家や編集者がKuuKuuを利用してくれました。この夜の出演者たちはみんなすごい作家でありながら、これまた舞台に立たせたらクロートはだしの腕前です。(原マスミはどっちもクロートですが)超満員の店内は子供の歓声もひびきわたり、そりゃあもう大変なコンサートでしたね。タケウチツーガがこんなに聴衆の心をつかむなんて想像すらしてなかった。KuuKuuの素晴らしい壁画を描いてくれた荒井良二は、KuuKuuスタッフといっしょになって原マスミの「耳の夢」を歌ってくれました。飯野さんの股旅ものは抱腹絶倒、役者やのう!スズキコージはKuuKuuオープン当時から、数え切れないくらいここで歌い踊ってきました。それがなくなったのはナントも寂しいなあ。

沢田としきさんは絵と人柄と歌がひとつになって、みんなを包んでくれ、ゲストで駆けつけてくれたケロポンズのふたりは、子供たちばかりか大人も大いに沸かせてくれました。それにしても、KuuKuuでこんなに素晴らしいアーティストたちと付き合うことができたのは、本当に幸せなことでした。ありがとう、ありがとう、ありが父さんうれしいです。(ん?)「ああ、こんなことなら、絵本作家の歌謡ショー、毎年やっておけばよかった」とマスターは思ったのでありました。

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12月27日
「LIVE!吉祥寺・フォークの遊星たち!」
出演 高田渡、友部正人、中山ラビ、中川五郎、佐藤GWAN博、渡辺勝、竹田裕美子、イマイアキノブ、武川雅寛、川下直広、HONZI

吉祥寺はフォークソングの歴史を作った町だといえるかも知れません。そんな歴史の中心にいたミュージシャンが集まってくれました。高田渡や友部正人は「まめ蔵」初期からの友人で、まめ蔵やKuuKuuで何度もライブをやってくれたことがありました。今年の四月、突然旅立ってしまった渡ちゃんは、この夜がKuuKuuで歌う最後のステージになってしまいました。粋なキャップ姿のGUWANさんの歌は洒落たシャンソンみたいで、やわらかく包んでくれますね。渡辺勝や竹田裕美子(きんちゃん)、武川雅寛は僕の学生時代からの友人で、むかし一緒にお芝居を作ったことがありました。「はちみつぱい」のメンバーでもありましたね。イマイアキノブの「スタンドバイミー」は何度聴いてもシビレマス。チャーミングな五郎さんの「57歳の子供」カッコよかった!こちらもチャーミングなラビさんの歌にはいつも圧倒されます。それにフェダイン時代から川下くんのサックスときたら……とにかくこの夜のKuuKuuはすごかった!歌い続けるってこんなにすごいことなのか!と心底思いました。ライブが終わったあとにピアノを囲んでまたはじまる、ほろ酔い大人のセッションがこれまた素晴らしい!「ああ、こんなことなら毎年やっておけばよかった!」とマスターは思ったのでした。

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12月28日
「吉祥寺らくごカフェ・江戸文化でサヨナラKuuKuu」

この年10月の春風亭昇太師匠の会につづく落語会でした。この日は長唄のグループ「長唄倶楽部・ラヴェンダー」のみなさんが華やかに前座をつとめてくれました。目の前で聴く「吉原すずめ」は迫力がありました。

立川談春師匠は若手、中堅では実力ナンバーワンとされる噺家さんです。最近、人気急上昇でチケットとるのも大変なんですよ。この日は奇しくも暮れの28日が舞台の「文七元結」(ぶんしちもっとい)をたっぷり演じてくれました。談春師匠の人情噺は絶品だと思います。僕は落語について上手に語れるほど多くを聴いてませんが、師匠の正攻法に噺のなかに入ってゆく切れ味と艶のよさ、芸の品格のようなものに感動します。江戸文化の粋を感じさせてくれるいい落語家さんだなあと思います。70分の熱演のあとに、客席とのトークで家元・談志師匠のエピソードで笑わせてくれました。この会は山梨の風流・馬場憲一さんの協力で実現しました。ありがとうございました。
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12月29日
「ヤア!ヤア!ヤア! クラムボンがやってくる!」

いよいよKuuKuuクロージングパーティもあと二日となりました。30日は本当のラストパーティでスタッフと常連さん中心のパーティになるので、きょうのクラムボンがKuuKuuの幕引きをしてくれることになりました。

原田郁子ちゃん、楽しい夜をありがとうございました。いつもとは違う会場セッティングでKuuKuuの空間がふしぎに歌い始めているようでしたね。クラムボンの音楽をなんと表現したらいいのか僕にはよく判りませんが、郁子ちゃんの、ヒトのココロのスキマを上等の天然スポンジで埋めてゆくようなハートフルな歌声にすごく惹かれます。(意味伝わりませんか?)いままでKuuKuuでクラムボンのコンサートをしてなかったのが不思議なくらいマッチしていました。クラムボンをまるく囲んで聴いてくれた今日のお客さんはどんな思いだったのだろう?懐かしくやわらかく、キラキラした時間でした。KuuKuuのスタッフもクラムボンの大ファンが多いので、最後にライブができたことは幸せなことでした。

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12月30日
KuuKuuの大団円。終わりの終わりの大パーティです。

10月にKuuKuuの閉店を決めてからこの日まで、全力疾走でかけ続けてくれたスタッフのみんなにまず心からのありがとう!を言いたいです。来る日も来る日もお客さんの波から波で、とにかく無我夢中で乗り切ったっていう感じでしたね。この一年、厨房をまかされた、あっちゃんをはじめ、さん、いづみちゃん、アライくん、いしちゃん、ひらりん、しんぺい、ホールで頑張り抜いたリーダー、やーの、直美、くま、フルヤにショーゴ、影に日にみんなを支えてくれたせつ子さん、なんども手伝いに来てくれた、きょんべやトーキチ、それになんといてもKuuKuuをKuuKuuたらしめた高山なおみと多くの元スタッフたち、ありがとう!お疲れさまでした!そしてKuuKuuを愛してくださった多くのファンのみなさま、本当にありがとうございました。

この夜の素晴らしすぎるパーティのことは、書いてゆくと泣けて来そうなのでやめましょう。写真を見てください。そうそう、KuuKuuゆかりのミュージシャンがこのラストパーティに花を添えてくれました。高田漣くんとは彼が小学校に入るころからのつきあいですが、お父さんの高田渡、息子のツッキイと親子三代でKuuKuuのラストを祝ってくれました。ハナレグミの永積タカシ君には10月に二日にわたって素晴らしいライブをやってもらったのですが、この日も「サヨナラCOLOR」をみんなと一緒に大合唱してくれました。ドーモ、マッタク、アリガトー!!

音楽とお酒とくす玉と紙ふぶきと涙と踊りのラストパーティは、拍手と喝采のなかで終わることができたのです。1990年5月25日のオープニングパーティから数えて13年7ヶ月のKuuKuuの歴史は、こうして幕を閉じました。二年たっても、この余韻、ナンダローネ?

(ここまで掲載した写真はすべて宮坂恵津子さん撮影です。ありがとうございました。)

ここからは、営業していた頃のKuuKuuのページです。メニューはごく一部ですが、どうぞごゆっくり召し上がってください。

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